家づくりの成功は、暮らし始めてからの家事のしやすさに直結します。特に大きな影響を与えるのが“収納の配置”です。収納はただ「広ければ良い」というものではなく、使う場所や動線に合った配置になっているかどうかで、家事のしやすさが大きく変わります。
「片付けが苦手だから…」と諦めてしまう前に、収納配置を工夫することで、自然と家事の手間を減らすことができるのです。
1.家事をラクにする収納配置の基本ポイント
「使う場所の近く」に収納をつくる
収納は“使うものを使う場所に近づける”のが基本です。
例えば、掃除機をリビングの近くに置ける収納を用意すれば、わざわざ別の部屋から持ってくる必要がなくなります。料理道具や調味料も同様に、調理スペースのすぐ近くに収まっていれば、出し入れの手間が格段に減ります。
動線に沿った収納を考える
家事動線の途中に収納を設けることで、移動と同時に片付けができます。
洗濯動線を例にとると、「洗濯する → 干す → たたむ → しまう」の流れがスムーズにつながっていると、無駄な往復がなくなり効率的です。
収納の「高さ」と「奥行き」も重要
収納の大きさが合っていないと、結局使いづらくなってしまいます。
- ・よく使うものは腰から肩の高さに
- ・重いものは腰より下に
- ・奥行きは浅めで“見える収納”に
このように配置することで、出し入れのストレスが減り、片付けが習慣化しやすくなります。
2.家事がラクになる収納配置の実例
キッチン周り
キッチンは家事の中心となる場所です。
- ・パントリーを近くに設け、買い置き食材や非常用品をまとめて収納
- ・ゴミ箱スペースをあらかじめ確保し、調理中に迷わず捨てられるようにする
- ・食器棚や調理器具をコンロやシンクの近くに配置
こうした工夫で「料理をしながら片付ける」が自然にできるようになります。
洗面・脱衣室
洗濯に関わる家事の効率を大きく左右するのが、このエリアです。
- ・洗濯機の横にタオルや洗剤を置ける収納
- ・洗濯物を干すスペースと収納を近接させる
- ・ファミリークローゼットを隣接させて「洗う → 干す → しまう」が一か所で完結
これにより、毎日の洗濯時間を大幅に短縮できます。
玄関
靴だけでなく、外で使うもの(傘、ベビーカー、アウトドア用品など)をまとめて収納できる土間収納があると便利です。出かけるときにさっと取り出せ、帰宅後もすぐに片付けられます。
リビング
家族が集まるリビングは、物が散らかりやすい場所です。
- ・リモコンや文房具をまとめる小物収納
- ・子どものおもちゃを入れる収納ボックス
- ・掃除道具を置けるクローゼット
「使ったら戻す」習慣をつけやすくする仕組みがポイントです。
3.よくある収納の失敗例
収納を考えるとき、意外とやってしまいがちな失敗もあります。
- ・「大きい収納があれば安心」と思い込む → 奥が深すぎて物が埋もれ、結局使わない。
- ・収納場所が遠い → 片付けるのが面倒になり、物が散らかる原因に。
- ・動線を無視している → 毎日の家事で無駄な移動が増え、負担が大きくなる。
このように「量」より「配置」が重要であることを忘れないことが大切です。
4.家づくりでの収納計画の進め方
収納配置を成功させるためには、以下の流れで考えるのがおすすめです。
- ①生活動線を書き出す
朝起きてから寝るまでの行動を順番に並べる。 - ②必要な収納をリストアップする
どの場所でどんなものを使うかを確認。 - ③配置を検討する
動線に沿って「ここに収納があると便利」と考える。 - ④将来の暮らしも想定する
子どもの成長やライフスタイルの変化も見込む。
家族の生活に合った収納配置を考えることで、無理なく片付けが続けられる住まいになります。
収納は「広さ」ではなく「配置」がポイントです。
- ◎ 使う場所の近くに収納を設ける
- ◎ 家事動線に沿った配置にする
- ◎ 奥行きや高さも工夫する
こうした工夫で、自然と家事の手間が減り、暮らしやすさが格段にアップします。
家づくりを検討されている方は、ぜひ間取り図を見るときに「収納の配置が家事をラクにしてくれるか?」という視点を持ってみてください。それが後悔のない住まいづくりにつながります。